danmaq


タグ: 縁側での日常


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「あー!あんたやっぱサボって先に休憩してるー」

境内に響く声、思ったより早くばれてしまったようだ。落ち葉を掃いていたが久々にいい天気で暖かかったので縁側で仰向けに寝転がって日向ぼっこしていた。声がした方を見やると目の前には盆を持った霊夢が。そして自分の目の前に盆が置かれる。覗き込むとそこには茶の入って湯気の立っている湯のみが二つ。

「お、サンキュ・・・」

お茶に手を伸ばしたそのとき、微かに視界が薄暗くなると同時に腹の上に強い衝撃。反射的に息がむせて握った湯飲みから茶がはねる。目を茶から離すと腹の上に霊夢が腰掛けていた。

「もう、早いところ落ち葉集めてくれないと焼き芋できないじゃないの」
「ぐっ……いまの不意打ちはちょっと効いたぞ」

いくら小柄な女の子とて完全に予想外の不意打ちで無防備だっただけにかなり効いた。

「あんたがサボってるのが悪いのよ」
「やってくれるな、こうなったら……仕返しだっ!」
「ちょ、何するの……キャハハハハやめてくすぐったい!」

仕返しに両手を伸ばして霊夢の腹や腋をくすぐってみる。霊夢がそんな無防備な巫女服なのがいけないんだ。反応がなかなか面白いのでこちょこちょをエスカレートさせてしまう。

「キャハちょっと、いいかげんにしないと!」

不意に両腕の力が抜ける。だらしなく床に落ちる自分の両腕。驚いて見ると自分の胸の上に符を貼りつけている霊夢の姿。

「あー、ずるいぞスペルカードとか」
「はぁはぁ……こ、これであんたは動けないわ。お仕置きし放題ね」

もがくにもまるで四肢の運動神経が切り離されたかのように両腕・両脚が反応してくれない。首から上は動くようだがこれだけではどうしようもない。

「観念しなさい。さぁどうしてあげようかしら」
「・・・やさしくしてね・・・」
「……やっぱやめとくわ。気持ち悪い」

幻想郷にはスペルカードとか弾幕とかあって、さらには体術もそこそこ出来るみたいなので外界由来の自分がまともに勝負できるとしたら話術くらいである。もっとも、話術も正直互角なのかかなり不安ではあるが。

「そういえばあんたがここに迷い込んできたのもこんな天気のいい日だったわね」
「そうだったか?」
「元の世界にはもう帰らないの?」
「霊夢が俺の上に座ってる限りは帰『れ』ないな」

自分がそう言うと無言で腰をどかす霊夢。

「おっと、そんなに帰って欲しいのかい?」
「だってあんた苦しそうだったし」
「お、俺はこの位平気だぜ」
「ふーん、じゃあ・・・」

霊夢は立ち上がると何を思ったか俺の腹の上を跨ぐように足を置き、

「これでも平気かしら?せーの・・・」
「ちょ!待った待ったストップ!尻餅はやめてくれ死んじゃう!」
「平気って言ったのはどこの誰かしら?」
「いや、尻餅はかまわんがせめて最期に中を拝みたいから腹じゃなくて顔の上に」
「むしろその減らず口を封じるために顔の上ね」

霊夢はそう言うと俺の上からどいて縁側の縁に腰掛ける。

「……寝ながらお茶なんて行儀悪いわよ?」
「あぁ、そうだな」

自分も霊夢の言葉を受けて湯のみを取り霊夢の隣に腰掛ける。気づけば胸の上に置かれていた符は既に時間切れで蒸発していた。

「お前思ったより重かったな」
「失礼ね」
「でも、ちょっと安心したぜ、本当は霊夢なんて幻か何かなんじゃないかとか一時期思ってたんだ」
「なんでよ」
「ほら、霊夢っていつもふよふよ飛んでたりなんか何考えてるかよく分からない時あるし、でも、霊夢の重みでなんていうか改めて存在感を確認できたような気がするよ」
「またひどい言われようね、私ならほらちゃんとここにいるじゃないの」
「俺が幻に惑わされてるわけでなく、霊夢が確かにこの目の前に居るって判った今だからこそ言えるけどさ、俺は霊夢が好きだからいつまでもずっとここにいてもいいか?」
「・・・うん、私もちょっと好きかも。最初は魔理沙や紫とかと同じようにしか思ってなかったけどこうやってずっと一緒してるとやっぱどうしても意識するようになっちゃって」
「それはきっと俺と霊夢の間に出会った最初の日から見えない運命の紅い糸で結ばれていたからだよ」

「「・・・・・・」」

「……なんてな、ちょっとクサかったか」
「相当クサかったわ」
「お前俺の上座ったとき屁こいたろ」
「その余計な一言が自分の寿命縮めるのよ」